11/8 「オオムラサキ保全ワークショップ」開催

オオムラサキ

先にお知らせしましたとおり、11月8日(日)、10:00~簾舞地区会館にて、簾舞地区まちづくり連合会「歴史・文化部会」と「国蝶オオムラサキ保存会」の共催による「オオムラサキ保全ワークショップ Vol.2」を開催しました。
八剣山麓のオオムラサキの生息地では一部の採集者による乱獲が伝えられており、豊滝等での保護活動が重要なものになっています。そのため、まちづくり連合会では、今年度の「南区未来へつなぐ笑顔のまちづくり活動推進事業」として、「国蝶オオムラサキ保護育成等に係る育成環境再構築整備事業」に取り組み中で、7月26日(日)には1回目のワークショップ(フィールドワーク)としてオオムラサキ観察会を行いました。
今回のワークショップは、簾舞における中・長期にわたる国蝶オオムラサキの保護育成のあり方についての地域ガバナンス形成に向けたものです。
成田まち連会長の挨拶後、黒岩次長から本日のワークショップへの経緯が説明され、今回のコーディネーターである環境コンサルタント(オフィスマルマ代表)長谷川雅広氏の進行で進められました。
その長谷川氏からのお話しによると、
1957年に「国蝶」の指定を受けたオオムラサキは、北海道では石狩(厚田~浜益)、栗山町、そして八剣山地区を含む札幌西部の豊平川河岸段丘域という、限られた地域のみに生息する、メス10~12cm、オス8~10cmになる大きくて美しいタテハチョウの1種です。マニアの間では「定山渓産」としてつがいが5,000~7,000円で取り引きされているそうだとか。
オオムラサキの安定的発生地である簾舞地域ですが、今冬より予定されている旧豊滝小の施設撤去が、この地における今後のオオムラサキの保全のあり方についての転換期となるそうです。それは、①八剣山地区はオオムラサキの発生数が多い地域であるが採集者が多いために地域個体群の安定性が危ういこと。また、国有林地であるためその保護活動にも制限がある。
②オオムラサキは長距離を自力で飛んで生息域を拡大する種ではなく、発生木の生育地に固着する種であること。
③旧豊滝小の位置は八剣山のオオムラサキと遺伝的交流が可能な距離内にあること。
以上の点から、旧豊滝小のオオムラサキを保全することで八剣山を中心とする簾舞のオオムラサキ地域個体群の絶滅を回避することができるということです。
オオムラサキ保存会の土田会長からは、現在の簾舞における活動状況について、自己の情報発信力不足もあって活発な状態とはいえないこと、オオムラサキを含めて現在は地域の自然の価値についての気づきが不足しているのではないか、かつて地域で高まったオオムラサキの認知度は小学校での保護活動があってのものだったとの指摘がありました。
その上で、地域での継続的な保全活動を進めて行くに当たって、チョウ採集者への対策を含めて、地域での関心や活動の動機付けとなる知識・情報等の発信の仕組みの構築に向けてどのような取り組みが考えられるかについて等を、参加者の皆さんとのディスカッションを通じて意見交換を行いました。
なお、保全活動の基本原則としては「No Net Loss」、つまりその地の生態系を守るためには、本来その場所にあるものから「何も持ち出さない・何も持ち込まない」、「在来自然を今以上に損なわない」という考え方に立つ必要があるとのことです。
参加者からの意見として、将来の保全活動の担い手となりうる地域の子どもたちへのアプローチを多くすること、その一つとしてイベントや活動現況等の情報発信を多くすることとともに、情報発信の媒体として小学校をもっと活用すること、学校を通じて保護者へアプローチすることが有効だと考えられること、自然保護活動に関心を持つ大学やその他の機関に所属する団体を巻き込んだ取り組みの展開、採集者対策として旧豊滝小跡地保全活動地区のロープ等での囲い込み、行政機関との連携の必要性等に係る意見も出されました。
最後に、今後の活動として、旧豊滝小の施設撤去に伴って丸裸状態となる保全区域については早急にロープ等での囲い込みや注意表示看板の設置等が必要であること、保全活動サイクル(作業等スケジュール)の明確化とその情報発信の必要性、この地をどのようにしていくかの地域住民の声と専門的知見をあわせての空間デザインの必要性等について確認がなされ終了しました。
参加者は地域住民の方々11名でした。で、当日は生物系資格の試験日とかで保全活動に関心を持つ学生さんの参加がなかったことが残念でした。

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