5/18 南区農園ガイドの会主催エゾシカ農作物食害セミナー開催

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3月20日および4月28日の当ホームページでも取り上げたエゾシカの食害ですが、5月18日(火)の17:00から簾舞地区会館にて、甚大な食害被害に対してどのような対策や政策が必要とされるのか、個々で出来る方策はあるのか?等について、南区農園ガイドの会主催による「南区 農作物食害セミナー」が開催されました。
セミナーの内容は、「農作物食害被害の現状と今後の課題について」で、NPO法人EnVision環境保全事務所の早稲田宏一氏と滝野すずらん丘陵公園事務課自然環境係の今井健太氏です。
砥山、豊滝、小金湯地区等の農家さんや猟友会札幌支部のハンターの皆さんを始め関係者の方々の他、地域住民の方々等、28名の出席者がありました。
司会は農園ガイドの会の吉村さんで、瀬戸会長の挨拶の後、「エゾシカの生態と被害対策について」のタイトルで早稲田宏一氏による講話がありましたが、私にとっては初めて聞くことも多く勉強になりました。
その内容は、
・6㎏で生まれたシカはオスで体重は90~150㎏、メスで70~100㎏になる。
メスシカは2歳で初産、毎年1頭出産。年率約20%、5年で2倍に増える計算。
・シカは逃げることに特化した動物なので積雪が苦手。積雪50~60㎝での生活は困難。積雪量の少ない場所(越冬地)(例:支笏湖北岸=南面地)へ移動(←GPS調査結果によれば札幌・北広島・恵庭・千歳から支笏湖北岸へ移動、越冬)。
・定住する個体グループと越冬地へ移動する個体グループがある。
・市内の越冬地~手稲、西野・宮の沢、藻岩軍艦岬、藻南公園、砥山(豊平川北岸=南面地)。との説明がありまして。そして、
・問題解決に向けて~特効薬はないが、短期的には、(1)シカ被害の現状把握 (2)防除方法の見直し(①忌避材料・忌避剤使用 ②効果的柵の設置:電柵の場合~シカも熊も柵の下をくぐる性質→電線最下段を下草との接触による漏電防止を回避しつつできる限り低く設定 ③一時的駆除:一時的給餌、誘引して捕獲(射殺・囲いワナ・くくりワナ)。道内の他地域では、大型囲いワナで集団生体捕獲→BOXに積替え→トラックで食肉場、残滓処理、がシステム化。この仕組みがないと捕殺後は埋めるかゴミ・廃棄物として処理することになるが、岩見沢市では簡易化、札幌市は×。捕殺後の処理が課題。(3)ハンターとの過度の依存を避けての連携 が必要とのこと。
中長期的には、持続的な捕獲の仕組み作りとして、(1)捕獲方法(時期・場所・手法)の検討 (2)捕獲した個体の処理問題(これが一番重要) (3)商業ベースでの危険性(利潤維持のためにはシカの個体数を減らせられない) が上げられました。特に、出口としての捕獲後の処理を誰がどこでどのようにするかが重要な課題とのことでした。
次に、今井健太氏から「滝野式 野生動物との向き合い方」というタイトルで、滝野すずらん丘陵公園の南、滝野の森ゾーンを中心とした熊やシカを含めた野生動物の生活実態を設置監視カメラ等による写真や動画によって解説していただきました。特に電柵に対するシカの対応動画も興味深いものでした。
その後、出席者からお二方へシカ対策としての唐辛子袋ぶら下げの効果や自宅庭に入り込んだシカの死体処理に関わって他、質疑応答があり、さらに猟友会札幌支部南部会の奥田さんからボランティアでのシカ駆除の実態について話がありました。
鹿猟には狩猟免許を保有して登録した人が銃や網、わなを使用して狩猟鳥獣を捕獲する狩猟と被害農家さんの依頼を受けたJA等の要請で有害鳥獣駆除ができる銃砲所持許可証を持つ猟友会等の駆除隊が駆除の許可証をもって行う駆除の二つがあります。で、今冬、駆除隊が要請を受けた砥山で駆除を行おうとしたら、当該地区が道森林管理局によって銃猟立入禁止区域に指定されていて銃猟入林が出来なかったとのことです。
聞くところによると、森林管理局では当該地域にキャンプ場が出来たので銃猟立入禁止区域に指定したらしいのですが、全く地図の上だけで現地確認もしないで指定したらしいです。一部は解除されたそうですが、最終的に当該地の立入禁止が解かれたのが、雪が溶け、緑も生い茂り、行楽客も増え、シカも山に戻ってしまった今だそうです。なんてちぐはぐなんでしょうね。
駆除は全くのボランティアだそうです。猟友会の皆さんは仕事をお持ちですので、休みを使っての、あるいは出勤前の駆除活動だそうです。そして駆除しても、その後処理が大変とのことです。運搬も廃棄物処理もままならず、結局は依頼農家さんに穴を掘ってもらって埋めることが多いそうですが、その際、特に熊には気を付けないといけないそうです。
というように、様々なお話しを聴くことができたセミナーでしたが、やはり、北海道を始めとした行政、特に札幌市の対応のお粗末さが気になりました。
現実に今、食害被害に苦しんでいる農家さん達に早急かつ有効な政策を実行してほしいと思いました。

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